営業苦行

外壁塗装の営業マン---飛び込み営業[1]



 

何か悪いことをしているわけでは無い。

買って欲しい、契約して欲しいとも言っていない。

お家の外回りの健康診断を行っている。

塗料も一番高いものを使用している。

法律によって裁かれることもしていない。

 

セールスは飛び込みが面白い

 

やり始めは住宅の販売と同じでたやすい営業では無い。

日中は留守宅が多くお話しが出来るチャンスは少ない。

勝負をかけるのは夜と土日曜日

初めの3週間ほどはお声を掛けにくい

どこのお家にお声を掛けようか考える。

基本は全権訪問だ。

今目の前の家に用事が無くとも

別宅に用事があるかもしれない。

玄関先に住人が出ていれば話は出来る。

家の中から玄関に出て来て頂くのに苦労する。

初めの頃は分からないので意外と話が出来る。

インターフォーントークが下手くそなので

「何の用事だ。」と出て来る。

 

不思議と興味を示す方も多い。

特にご主人は話を聞いて下さる。

点検は寸法出しに快諾して下さる。

 

契約するしないは別にしてどんな塗料で幾らくらくらいするか。

それを奥様とお二人で聞いて下されば良い。

特に悪意もないし、高く売るわけでもない。

 

1日歩いても成果につばがることが無い時もある。

ピンポンセールスは初訪問であるから嫌われる。

まるで蠅叩きで叩かれるようだ。

当たりがない日が続くとさすがに落ち込んでくる。

ここも駄目だろうなとインターフォンボタンを押す。

「ハーイ」と40才くらいの綺麗な女性が出て来る。

 

扉を開けたまま話を真剣に聞いてくれている。

それが不思議でしょうが無い。

「私、ガイナって遮熱塗料に興味があるの。」

 

「ご興味がある訳なので遮熱塗料を使った場合の話」

「そして光触媒を使った場合、どのくらいするか。」

「ご主人がいる時に一緒にお話を聞いて下されば、契約するしないは別なので。」

 

やっとの思いでお家のサイズを計測する了解を頂く。

15分後、再びお声をお掛けして御説明の日を窺う。

しかし、ご主人に聞かないと予定が分からない。

そこで電話番号だけ伺い、夜9時に電話する約束をする。

これが仕事だ。

しかし、ここまで辿り着くお客様を1日3軒は作らないと契約には到らない。

 

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兎に角、地図を塗りつぶしてゆく

留守宅、断り客(奥様)、ご主人がいる夕方に来てくれ、全く相手にされない。

1軒1軒記号を入れそのお家が塗装工事をどう考えているかを潰していく。

中には何もしていないのに怒鳴られる時も在る。

 

「うちは塗装屋さん決めているから用事無いよ!」

「塗りたいけど金がないから出来ないよ!」

ありとあらゆる断りセリフが出て来る。

 

説明と商談は土曜日、日曜日に集中する。

10名ほどで営業しているのでその二日間で

10軒ほど契約となることがある。

 

その中に自分がいない時は寂しいものです。

 

諦めたらそれで後は無い

 

忘れもしない。

初めて契約を頂いたお客様。

月曜日に奥様から断られながらも計測が出来た。

 

1週間は同じ地区を訪問する。

不思議とその奥様後1日2度3度と会う。

夕刻、訪問しご主人の帰宅時間や説明の日を聞く。

 

なかなか日取りが決まらない。

ウィークデイは帰宅後、直ぐに夕食を食べ集会に行く。

土曜日は午前中は居るが午後は寄り合いでいない。

 

日曜日は終日集会場に行っている。

そこでご主人の帰宅する時間を狙って訪問した。

「あなた…… あのしつこい人が来たわよ!」

御説明を申し上げ土曜日の10時30分からお時間を頂いた。

直ぐには決まらなかった。

工務店さんと再度話を聞くこととなった。

 

そこで工務店の棟梁がこの塗装屋さんならいいんじゃないか。

そこで初めて契約を頂いた。

2ヶ月契約が取れないとクビだった。

残り8日間

初めて飛び込み営業で契約を取ることが出来た。

完工後、ご主人から言われた言葉は

「君は熱心だったからね!」

 

※ しつこい人が契約、完工後は熱心な人に変わっている。

 

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