きんとうん

葬儀、一人の死、家族関係が大きく変わる、だからこそ愛情を持って見送ろう



10歳の時に父が他界した。

13歳で母が闘病の末、亡骸となった。

まだ姿形があるまでは非現実的な出来事である。

 

火葬場の金庫のような扉が閉まった。

その瞬間から二度と父母に触れることは

何をどうしようと出来なくなる。

 

葬儀が終わると一時代が終演したように今までの環境が変わって行く

この世に誕生すると言う事は即ち、死に向かって放たれた矢となる。

子供や孫が誕生したときの喜びは例えようのない喜びである。

誕生は即ち死への旅である。

肉親との別れは耐えがたい苦痛である。

しかし、その最後の容姿を心に刻み込んで下さい。

少なくとももう一世代は心の中で生きることが可能です。

 

多感になるそのとば口で父母を失った心は言葉にしようがない。

もう存在しないのだと解っていてもその愛情を感じることが出来ない。

眠れぬ夜を幾千と送ったことだろう。

 

小僧が生意気にも仏教で言う【悟り】を求め出す。

一生懸命に考えても、その理不尽に混乱する。

しかし、読み進み、解らない項目は何度も読んでみる。

 

ひとは良いことがあると生きていることに例えようのない喜びを覚える。

しかし、悪いことが起きれば死んでしまいたくなるものです。

つまり私たちの気持ちは永遠に生きていたいと思う気持ちと

 

大きな失敗で死んでしまいたい気持ちの間を振幅しているのです。

人生という時間の中で生と死の間を私たちの心は行ったり来たりしているわけです。

このバランスが崩れたとき心はブレイクアウトする。

 

極論を言えば誕生は喜ぶことであり、

どうしようもなくなったときに死も喜びになるのです。

誕生を喜んだり、死を悲しんだりすることが意味が無い。

 

悲しみを乗り越えることも大切な処世の術である

大切な人に死が訪れてしまったら、

その死を心ゆくまで噛みしめて下さい。

決して混乱することなくしっかりと見つめるのです。

 

そうすればいつまでもいいつまでも

死者は心の中で微笑んでいてくれます。

静かにあなたはそう思うのです。

 

家族の要が亡くなったとき

そしてその方は必ずあなたにとって大切な存在でした。

そこから訪れる家族や一族の大きな変化が待ち受けます。

 

恐れてはいけません。

雪解け水が集積して川の流れになります。

心や気持ちが自立していればどうでも良いことです。

 

その日の為にも自立することに努力をして下さい。

賢治ではありませんが喧嘩や訴訟などに巻き込まれてはなりません。

あなたが自立し大人になって行くことを目的としてご逝去為されたのです。

 

波瀾万丈な人生を送った高齢者が綺麗にお化粧をされて

安らかな顔をしながら嬉しそうに休んでいる姿に心を馳せましょう。

 

1日も100年も大して変わらない時間です。早すぎる死を悲しむなかれ

不思議なんですよ。

大切な赤ちゃんが不条理な死を迎える。

それだけで夫婦やその両親までもが人生を狂わされてしまいます。

 

そんなことがないようにいつも安らかな心を持って下さい。

家屋敷を失っても死ぬわけではありません。

たいしたことではないでしょう。

 

明日、家内の父親が91歳で亡くなり、

その告別式が行われます。

家内は十二分に父親の面倒を見ました。

 

ホームや病院にも出来る限り毎日通っておりました。

心の中にいつも穏やかな父がいる。

たくさんの優しさとたくさんの愛情を下さった父上です。

 

優しい気持ちで彼女の心に寄り添って

それでいつものように文句を言われ、

いつものように時がゆっくりと流れて行くのです。

 

あの笑顔を二度と見ることは出来なせんが

心の中に永遠の父が生きているのです。

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