一般的なキッチンセットが世に出始めたのが昭和30年代。
柱と柱の芯々で1間幅の公団用流し台。
600mmガステーブル置き台とシンク調理台で1,700mm
それまではタイルで作ったシンクや木で組んでステンレスで覆った場所だった。
女性の地位向上と共に急速に進化していた
15センチモジュールのキッチンセットが主流に
主戦場は流し台、調理台、ガス台、吊り戸棚を思い思いのレイアウトが出来るキッチンだ。
キャビネットが木製かホーロー製、ステンレス製と各社一斉に市場に商品を投入した。
その中で日本は独特な製品群が出そろった。
ドイツは戦後の復興を急速に進めるために女性も進んで社会に進出した。
国策として女性の家事労働の軽減に力を入れた。
そこに出現したのが日本で言うシステムキッチンだ。
食器洗浄機、ディスポーザー、洗濯機&乾燥機、オーブンレンジなどを効率よく配置した。
これはなにも専属のキッチンメーカーがキャビネットから全てを構築した訳ではない。
いわゆる作り付けの流し台である。
それをシステムキチンと命名し最高級品としてデビューさせた。
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ヤマハかクリナップか
その名前の商標を争った。
結局はあやふやになったようだ。
クリナップが圧倒的な売戦略で市場を広げていった。
流し台に販売は問題点がある。
それは専門店がないことです。
ご家庭で流し台を購入する主導権を誰が持っているか?
一軒の家を建てるのにどの業種の方が設置する権利を有するか?
これで全てが決まってしまう。
公団の流し台はサンウェーブが水道工事店ルートで設置した。
だからTOTO等衛生陶器や浴槽店等から購入された。
また工務店さんからのサービスで設置される例もある。
木質建材ルートから購入されるケースも多い。
その中で家具店や金物店からお施主さんが好みの商品を購入する場合もある。
運んでおくだけ、それでいて金額が高くなるのでいろいろなルートから販売されている。
サンウェーブ、タカラスタンダードは商社経由からの販売が主流だ。
その中で社長一代で伸びて来たクリナップは松下幸之助と同じように販路を作った。
クリナップ店会、直販小売店網を広げていった。
しかし、その商流には限界がある。
そんな意味があってシステムキッチンに力を入れた。
流し台の専門店を築きたかったのだ。
その為にはシステムキッチン販売店に利益をもたらさねばならない。
その為にシステムキッチンに力を注いだ。
使用する材料が高額な作り付け流し台
設計事務所などでは木製のテーブルに穴を開けホーロー製のシンクを落とし込みテーブルにはタイルを貼った。
設計事務所としては既製品ではなく独自性を打ち出したいのだ。
但し、タイルで作られた調理台は皿を欠く。
ホーロー製のシンクはやはり食器を欠いてしまう。
見た目の格好良さと使い勝手は一致しない。
専門メーカーが金型を起こしステンレスを大量にプレスしたシンクが使いやすい。
水切り代にしても排水トラップなどにしても金型で作られた大量生産品が安価で質の良い部品を供給出来た。
恐らく流し台メーカーが最も頭を痛めたのは開き戸の蝶番である。
幅が450ミリや600㎜、或いはコーナー部の蝶番は強度に問題がある。
今ではあまり聞かないことであるが、新築時、冷やの中心は少し高く作る。
本来、家を建てる際は更地で暫く置き、その後、柱を立て瓦を乗せた暫く放置する。
地面がしっかりと収まるのを待つらしい。
しかし、時間がないのでその工程を省略する。
その弊害が床の施工時、少し中央部分を高く作るらしい。
時間が経つと丁度良くなるように計算して床を作る。
当然ながら流し台は床に対して歪むので扉が段違いになる。
新築時に直しても1年後には床が水平になる訳で再度調整が必要になる。
このようなことが実際に日常茶飯事のように発生していた。
システムキッチンの場合は扉の材質が無垢のなら材などを使用する。
天然木は水分の多い空気が当たる位置や大気の状況により反る。
また販売当時は水栓がシングルハンドでヤマハ性の商品が主流で海外製はめちゃくちゃ高かった。
その水栓がしょっちゅう不具合を起こす。
欠点も確かにあったことはあったが、材料が高価なだけあって出来上がりは見応えがあった。
L型に設計してフルに吊り戸棚を着けると500万円は越えてしまう。
キッチンセットが急激に発展した背景を語りながらその足跡をはなそうと思います。
見栄えだけを考えるからいいものが出来ない。
徹底的に考え抜かれ、実験に継ぐ実験を繰り返し本物が出来る。
まず第一に主婦の家事労働の軽減を目的としている。
その原点を忘れてはいけない。
長く使えて衛生的で主婦の労苦を激減させるキッチンが目標だ。
この記事からキッチンについて語ろうと思います。