山岳地帯での遭難事故は河川に絡むものが多かった。
山へのアプローチが楽になるにつれて初心者によるものが増えた。
体力や技術が伴わない場所での遭難は未熟さから発生する。
低山であっても天候によって自然は牙を剥く。
最悪の状況を常に意識して計画、行動を取って欲しい。
ご家族の悲しみも深く、また救助される方々のご苦労にも思いを走らせて欲しい。
アルピニストは絶対に事故を起こさない義務がある
事故があり、人命が奪われると二度と同じ事故が発生しない対策が施される。
場合によっては損時期にその場所への侵入が断固として許されなくなる。
後立山連峰へ1月に入山するものはプロフェッショナルであるはず
山岳域で事故が発生する度に非常に残念な気持ちになる。
今回発生した事故は亡くなられた方の詳細な情報がない。
よって私見が誤る可能性もはらんでいる。
しかし、警鐘を鳴らす必要性を感じました。
第一に北アルプスと言っても後立山連峰であります。
1月の中旬以降に入山するには特別な許可が必要なはずだ。
まして”バックカントリー”に入り込みスノーボードで滑走するとなると
相当な経験と訓練を積んでいなければ立ち入ることは出来ない。
そして長野県警からはビーコンの携帯が義務付けられている。
ビーコンは雪崩で埋没した際に速やかに発見される為に携行する発信器です。
それが義務付けられていると言うことは必ず雪崩が発生することを意味する。
そしてバッグカントリーにおいての事故は入山した者の自己責任のはずだ。
クロスカントリースキーで入山するなら積雪の具合をストックで確認することが出来る。
スノーボードではストックは使わない。
雪崩の発生や天候の悪化は事前に把握することができる。
以上の論理からすると表現は悪いが死に行ったようなものだ。
一言で言えば自殺に等しいし迷惑な話だ。
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バックカントリーで大斜面を滑ろうと言うツアー
確かに旅行会社では同地域のバックカントリーでスノーボードを行うツアーを募集している。
しかし、それは5月の初旬に計画されている。
それも3人以上6名単位を1パーティーとしている。
加えて、アイゼンの携行が義務付けられている。
5月に行うスノーボードツアーにしても実力の有無を確認される。
事故を起こされる度に入山ルールが厳格化されてしまう。
事故を起こす奴を野放しにしてはいけない。
場所は栂池高原スキー場の更に上になる。
栂池高原スキー場自体がかなり大規模なスキー場である。
まして夏ならば4時間ほど歩けば白馬山の山頂に辿り着く。
40歳と言えば分別が付く年齢ではないか。
確かに好天であればゴンドラを下りてすぐに行ける場所だ。
とても残念でならない。
僕は植村直己さんが二度と帰らぬこととなり
本当のアルピニストではないことを証明してしまったと思っている。
プロはその領域で事故を起こし帰らぬ人となることは許されない。
遭難死は敗北であり、アルピニストの資格剥奪に等しいと思っている。
自然はある時は優しい母でありある時はその子を谷底へ突き落とす存在にもなる
日露戦争前『八甲田雪中行軍』訓練を行い、199名が帰らぬ人となった。
日清戦争で冬季の行軍を強いられ非常な苦戦を強いられた。
その為に同様な条件下での作戦の訓練を行った。
結果は無残なもので敵もなく、戦闘もしないままにほぼ全員が自然に殺されてしまった。
いくら装備が格段に良くなってきても技量が無ければそれまでだ。
当時はまだビニール袋がない時代であった。
防水は油紙である。現代のような装備を持ち合わせていなかった。
それほど激しい高低差があるわけではない。
ただ単に降り続ける雪の量と降雪後の強風で殺される。
本来であれば低気圧が完全に過ぎ去るまで動かずに雪洞にでもいれば良い。
雪の中は零度以下にはならないからだ。
その上、風がないから体力が十二分に温存される。
今から30年前であればクロスカントリーで2泊3日のツアーが楽しめる。
現代であれば生き死になど関係のない楽しい訓練になる。
まさか地図とコンパスの使い方、気象通報の書き取りが出来ないものは山域に入る資格がない。
吹雪で視界が悪い中を歩けば確実に遭難する。
人は右利きが多いのでどうしても時計と逆廻りの円を描きながら進んでしまう。
リングワンダリングと言う。
そのような状況の時はテントの中で天気の回復を待つに限る。
どうしても進まなければいけない場合は出発する現在位置を確実に把握する。
地図に目的地を記しコンパスで進むべき方向を決める。
長さ2メートルの竹竿に赤い布を絡ませ現地店からその赤い布が見える方向に
竹竿を立てる。またその先に真っ直ぐに進むように竿を立てる。
その繰り返しで真直ぐ進むことが出来るのだ。
それほどまでに慎重に考える。自分たちの命も大事だが
事故を起こし後輩のための山岳部が消滅することが最も怖い。
伝統がある山岳部が消滅してしまう。いかなることがあろうとも事故は起こせない。
そのような気持ちや諸先輩方からの訓練や忠告に基づいて山行を実施する。
事故を起こす人は山域に踏み入らないで欲しい。
亡くなられた方のご家族には深く哀悼の意を表します。
しかし事故を起こし死んでいった者には語るべき言葉がない。
絶対に事故を起こせないし、その為の準備と訓練を積んで実力にあった行動を行って欲しかった。
何度か山行中に出会ったパティーの事故を後日知り、
あの実力ではしかたがないな。そう思える節がある。
登り行く姿を見れば直ぐに解る。
これから冬山の本番が始まる。
今年は山中での事故のニュースを見ないで済むように対処して欲しい。
事前の訓練と予備知識、そして行動日前後の天候を把握して欲しい。
勇気ある撤退こそアルピニストの精神である。