アルピニスト

登山をする者の一番の危険は名前が売れることである。しっかり基礎訓練を積め



登山を志す。

そのスタートで実力者と同行する。

そうすると結構ハードルの高い経験を積む事が出来る。

それでどこかで勘違いをする。

自分も一流なんだと

高校・大学山岳部でそれなりに実力があったものはずるずると登山を続けない

山に登ることで死んで欲しくない、美化することも止めて欲しい

登山は趣味であり、楽しみとして経験する。

体力もあり、判断力も優れ

リーダーになるような方は社会人になると

 

山から離れていく。

入部後、いつも山行でばてていて

到底、山登りを続けるには似つかわしくない人が

卒業後も引き続き山に登り続ける。

 

そして気が付けば登山そのものが自分のアイデンティティになり

その名を馳せてゆく。

気が付けば普段の活動を常に向上しなければならない。

 

追い詰められてゆく。

気が付けば引けに引けない状況に置かれ

困難ではなく無理に無理を重ねだす。

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中学生になってから山にあこがれ、高校生になって山岳部に入部した

入部した当時、国内でもレベルの高い山行を行っていた。

1年間の山行計画はすべてその山行が目的ではなく

練習と訓練のカリキュラムであった。

 

4月は新人歓迎山行でキャンプを楽しんで

丹沢の沢登りを行う。

最初からザイルを使う山行にOBが付き添い

高い志を与えてくれる。

 

5月は雪上訓練と称し残雪の谷川岳一ノ倉沢で

滑落停止訓練や雪上でのザイルワークを指導される。

6月は夏山合宿に向けて負荷訓練を行う。

 

キスリングザックに石を詰め25KGまでにする。

新しい川の山靴で靴ズレを作りながら

土曜日の午後から翌日曜日まで太陽が照り付ける急登を登らされる。

 

7月は夏休みに入ってすぐに12月の冬山合宿の偵察山行である。

冬に登る山を事前に登ることでその様子を身に着ける。

8月は楽しみにしていた夏山合宿である。

 

北アルプスや南アルプスの縦走路を1週間以上かけて

歩き続ける。

この時のキスリングザックの重量は30kgほどある。

 

この山行までに山の危険さやその回避術

判断力を身に着けて行く。

やはり怖いのは雷である。

 

部員は山行ごとに記録係、食料係、装備係等

順番に役割を与えられる。

NHKの天気概況を聞きながら天気図を着けられるように普段から練習する。

 

普段のクラブ活動は放課後、1時間以上走り回る。

体力をつけなければならないからだ。

夏休みのプレ合宿、夏山合宿の前は毎日学校に集まり

 

走り続けるのだ。

何より体力と精神力を身につけなければ山域に入り込む資格はない。

先輩も後輩も、同期も兄弟以上に仲が良い関係になっている。

 

学生山岳部員は絶対に事故を起こせないし、死ぬことも許されない

何か問題を起こせば先輩諸氏が築いて来た山岳部は霧散する。

顧問の先生は山を知り尽くしている。

そして手の指先が一つない。

 

凍傷で切らざるを得なかった。

綿密な計画と体力向上を日々の活動の中で組み立ててゆく。

年間の山行がカリキュラム化されている。

 

9月は三つ峠で岩壁登攀技術を叩き込まれる。

ザイルワークとカラビナやシュリンゲの使い方

そして上から確保してもらいながら

 

5級+αクラスの岩壁を何度も登らされる。

気が付くと両手の指が攣っている。

「落ちます!」声をかけザイルにつられている。

10月は急速に冬に向かう山々だ。

紅葉を楽しむ山行を行ったりする。

11月後半は冬山合宿への総仕上げだ。

富士山の7合目付近で雪上訓練をする。

滑落停止、ザイルパートナーと

コンテニュアス移動中のパトナー滑落時確保

何より冬富士の突風に対する耐風姿勢や

風で飛んでくる岩石を避けたりする。

人の頭より大きな石が飛んでくる。

 

突風と言っても時速60Kmで走っている電車の窓から

突然、上半身を出した時に受ける風である。

そのように一日中富士山で雪の斜面を戯れる。

 

そしてよいよ冬山合宿に向かう。

12月最後の1週間である。

初めての冬山は御岳山であった。

 

常に最悪の状況を考えて対応する、山域にいる時は常時訓練だ

御岳山は夏に登れば道路が近くまで来ている。

しかし冬になれば別世界である。

山域自体が豊かに広がり風雪や濃霧になれば迷うことは必定である。

また独立峰であることと森林限界までの雪が深く

強烈なラッセルを強いられる。

背中のキスリングザックは40kgを超えている。

 

普通に腰上まで新雪に潜る。

かんじきを付けピッケルとストックを両手で持ち

交代で雪を踏みつぶし蹴散らしてゆく。

1日もがいて700メートルだけ進めた。

テントを設営し夕食を食べるも全身がオーバーワークで

すべてもどしてしまう。

そして二日目になる。

水分を吸い込んだテントや寝袋で皆の荷物は50Kgを超えている。

しゃべることもなく黙々とラッセルを続ける。

 

気が付けばいつの間にか森林限界を超えた。

体中に付けられた大リーグボール養成ギブスを

外したような様子、体は荷物の重さを忘れて軽快に動く。

今まで経験をしたことのない世界と大自然の素晴らしい景色

途中からかんじきを逆に装着し、加えてアイゼンを着ける。

時々、足がすっぽり雪面に穴をあけ抜け出られなくなる。

かといって場所によってはカチンコチンに凍り付いている。

 

アイゼンを着けていないと場合によっては滑落の危険がある。

足回りの装備を臨機応変に判断し仕様変更をしないと危険な目に合う。

既に夏休みが終わったころから厚手のハンガリー手袋を着けたままで

アイゼンを装着したり、スパッツからオーバーブーツに履き替えたり

日々、練習を行って来た。

その成果が今問われるわけだ。

いろんな知識や経験が無ければ対応できない。

気が付けば山巓に辿り着き

夏は御池の氷上にテントを張る。

 

なんでこんなに大変な思いをしてまでここに来たのであろう。

噴火口の中なので風を防げるし、月明かりで夢のような夜の光景だ。

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