日本医学界

腹部大動脈瘤破裂の手術成功率は10%、しかし助ける努力も出来る。

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運は切り開く。

出来る限りのことをしてみよう。

ほんのちょっとした事で助かることもある。

 

 

絶体絶命!危機は医師不足?

 

天気の良い長閑な昼過ぎだった

 

晴れた日の休日である。寒暖を意識しない。

心地よい一日だ。静けさや日差しが心地よい。

こんな一日は誰もが心の洗濯をしているに違いない。

 

突然、電話が鳴った。家内が取った。

詳しいことは判らないが救急車を既に呼んでいた。

実家まで車で約10分、直ぐに駆けつける。

 

救急車が着くのと同時に到着することが出来た。

直ぐに実家の二階に駆け上ると隊員が病状を確認しながら

搬送の準備に取り掛かっている。腹部に異常がある様子だ。

 

専門的な知識がある訳ではないので何をどうしてよいのか解らない。

顔を見れば蒼白で動かなければ死んでいるようだった。

救急隊員の方が3人がかりで狭い階段を降ろしていく。

 

救急車まで搬送するのは早いものである。

しかし、そこで簡単な検査をしながら受け入れ病院を探している。

なんと無駄な時間であろうか?

 

一気に怒りが込み上げて来た。

「この人は順天堂に通院しているのでカルテなどがある。

着いてから話を付けるから順天堂へ行ってくれ。」

ここは強引さがなければ助かるものも助からないと判断した。

 

直ぐに順天堂に隊員が電話を入れる。ちょっとやり取りがあり

「専門の医師が手術中で対応出来ないが取り敢えず搬送して構わない。」

了解が出た。義父の病状は私には全く判らない。

 

行くところが決まらず死ぬより、何時もの病院に行って駄目だったら納得が出来る。

そう思い強引に行き先を決めた。

 

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運を掴むことも大切な処世術

 

病院に着き診察室の別途に横たわっている。

下腹部を押さえながら吐き出すことも出来ず

排便も出来ない様子だ。そばにバケツがあった。

 

しかし、画面蒼白のまま苦しんでいる。

バケツには何も出せない。

若い医師が遅れながらも来た。

 

思い切り文句を言いたかったがここは我慢にしどころだ。

その医師は患者がどのような病状なのかが判っていない。

それでも救急の報告書を読みながら症状を確認している。

 

原因が何か解らなければ治療のしようがない。

5分10分と時間が過ぎて行く。『腹部大動脈瘤破裂』これが診断だった。

実際、今オペ出来る先生が動脈瘤の手術中らしい。

 

それが終わるのを待つことは出来そうもない。

既にその手術で9時間が過ぎているらしい。

若い医師は直ぐに受話器を持ち電話する。

 

何やら了解がとれたようだ。

東京医科歯科大学医学部附属病院で手術が出来る医師がいる。

直ぐに救急車が用意されて移動を始めた。


もう10メートルで救急車に乗る手前で階段を駆け下りて来る医師がいる。

もう一人が走って来た。どうやら手術が終わったようだ。

ストレッチャーは救急車に向かわずそのまま手術室に向かった。


一つ上手く行くと万事がスムースに行く 

 

午後二時頃から翌日の一時過ぎまで手術は続いた。

長い時間がゆっくりと過ぎて行く。

家内は残り一旦、家に帰る。

 

もうすることがない。

翌日、午後二時頃に病院に行った。

100人中助かる可能性は1人と言う状況であったらしい。

 

お腹側から開腹したが血飛沫が飛び散り治療する部分が認識出来ない。

直ぐに止血縫合し背中側から破裂した動脈を探し出したらしい。

それにしても体の血液がほとんど無くなった状態でも心臓が止まらなかった。

 

運が良い人である。

そのままカテーテルで動脈を繋げ血液の垂れ流し状態を停止させることが出来た。

丁度、帰宅する医師と会うことが出来た。

 

彼は3日間休まずに手術を行っていたらしい。

感謝、感謝である。

心臓が止まらなかった。

 

それが生還した大きな要因だった。

一般的に破裂する前で手術成功率50%である。

破裂後で10%

 

あの状況から生還した運の強さ、その場その場の判断が生死を分ける。

ある程度の強引さも必要だ。

偶然にもお茶の水界隈は大きな病院が多い。

 

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