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宮沢賢治「春と修羅」は法華経が根底にあり人類のバイブルだと私は思う

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随分とありふれた人になってしまったのだろうか。

私の中では悲しいほど立派な人物だという思いがあります。

詩人や芸術家はおおよそその死後に価値を見出されるのです。

紙と硬質インクの…

この部分だけでも素晴らしい表現だと思う。

 

 

宮沢賢治

 

言葉では容易に語れない深い思いを文字にした人

 

この国ではおよそ文学なる道を志すものは家族の異端児とされてしまう。

文学で金を稼ぐことは非常に困難な時代だった。

社会人として文学から進めて行ったものは家族から嫌われているかはみ出し者とされてしまう。

 

数多の文学者は死後にその名を高めるか運良く長生き出来れば晩年に栄誉がもたらされる。

実際、一般的な人が「春と修羅」を書いたといしたら馬鹿馬鹿しく思うのだろう。

始めに刊行された際に100冊売れた。

 

残りは賢治が全て買い取ったらしい。

中原中也はこれを読み高い評価を語ったらしい。

彼もまた生前に認められることなく夭折し何時の時代もパイオニアは己の信じる先に突き進む。

 

是か非かではない。

賢治の場合、その紙に書き記す行為が止まらないと言う表現が近いと思う。

中也もまた早世してしまった。

 

明治大正昭和初期の文学者は何故か皆、その命を全うすることなく亡くなってしまう。

小説家は他人の心が解る。

故に自身との葛藤に苦しみ心を病む。

 

そのように語った同世代の仲間がいる。

小林秀雄がその一人で在る。

小林は文学者にはなれなかったが評論家として永く存在した。

 

賢治の思いは自分が求める理想像が在って、その理想に到達したい強い願望がある。

しかし、人として生まれた煩悩故に決して到達出来ないけれども諦めることなく求め続ける姿勢や気持ちのあり方が大切だと語っている。

[アイキャッチ画像について:蓮の花は泥の中に生まれても、泥に染まらず、政情な花を咲かせる。]

 

 

 

 

よたかの星

 

よたかに自分を置き換えて書かれたようだ。

何の取り柄も無い自分、この世に身の置き場所がない。

泣きながら、空を飛びながら、昆虫類を食べてしまう。

 

自分が生きて行くことで多くの虫たちの命が失われてしまう。

食べなければ生きていけない自己矛盾に葛藤する。

そしてよたかは星になってしまおうと思うのだ。

 

つまりきらめく夜空の星達と一緒に夜になって輝き続ける

そんな星になりたい。そしてそれは自らの死を持って成就される。

この話を何度読み涙したことか。なれないけれどなりたい求道の精神だ。

 

そんな思いが他の作品にも脈々と流れている。

 

グスコーブドリの伝記

 

物語にはこの世に生まれることの避けられない悲しさをそして日々を食べていくことの大変さをさらっと書く。

父母との別れや妹との別れ、そして天候不順による多くの人々を助ける為に、そして自分と同じ思いをさせない為に自己犠牲のこころでカルボナード火山島に一人残る。

暖かい気候にすることで農産物の不作を止める。

 

賢治の徹底した東北地方の自然観察眼や飢饉や貧しさの元となる自然への徹底抗戦姿勢。

私自身が5人兄弟の末っ子で存在しなくても誰も困らない。

そんな思いが強く共鳴しました。

 

ジブンヲカンジョウニイレズ、クニモセズ

サウイフモノニ、ワタシハナリタイ

 

多くの人の為に自分を犠牲にして生きて行くこと

 

宮沢賢治の文章(詩)が難解なのか?平易に表現する努力をしている。

故に難解に感じてしまう。

何度も何度も読み返し、透き通るような

 

宇宙感、他人への深い愛情、自然と対峙する命の姿を描いている。

非常に多くの人々が今では賢治の世界観や人間観に深く思いを巡らせております。

私は沢山の宗教が在りますが日々煩悩の中で生きる人々に優しく語りかける。

 

そんな彼が残した文章には聖書を越える宗教を感じ哀れな私たちへの応援歌に思えるのです。

そしてその文章の中でただお経を唱えているだけでは「農産物の不作を防ぐことは出来ないんだ。」

右の頬を殴られたら左の頬を出しても、雨は降らないし、太陽も顔を出さない。

 

その思いの先進性と賢治が生み出す言葉の数々に法華経を越えた巨大な理想を強く感じます。

恥ずかしがることなく読めば良い。

読みながら悲しくなったら泣けばよい。

 

今の自分に出来なくても、どうしたら近づくことが出来るか、ちょっとでも思えば、それだけで賢治の宗教と言う陳腐なものではなく人として生きる縁になれるのです。

縁(よすが):特に仏教で、物事が生ずる原因。めぐりあわせ。

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