”三千世界のカラスを殺し、お前と一緒に朝寝がしたい”
風流を解するしゃれっ気たっぷりな正義のペテン師だ。
それでいながら長州藩に絶対必要とされた人材である。
侍や藩士を越えた経験と親交を持ち、若くして交渉の達人。
こんな男が吉田松陰には忠誠を尽くす。松蔭が面白い。
吉田松陰あっての高杉晋作である。
松蔭に良いところを飛躍させられた天才、奇想天外な発想が素晴らしい
幕末のキャラクターは誰もが必要な存在だ
高杉晋作は多くの伝承者に弄られ過ぎている。
出来る限り、自分の描く晋作を書かねばならない。
結構、自分勝手なところがある。
しかし、藩主からは可愛がられていた。
酒を飲んで芸者遊びに興じ、三味線で都々逸をやる。
超一流の遊び人である。
また藩主、毛利敬親が面白く、何でも「こうしたい」と言えば「そうせい」と言う。
藩主は(そうせい候)と呼ばれていた。
これもまた高杉には順風であった。
長州藩は村田清風を登用した天保の改革を実施し、相次ぐ外国船の来航、
中国アヘン戦争等の情報で海防強化を実施、また藩庁公認の密貿易で莫大な利益を上げていた。
晋作は藩主に在る時、「軍艦を買うから五千両を用意してくれ!」とお願いした。
「そうせい!」と言い、五千両を渡してくれる。
その金を祇園の花街に居続け、全部使っちゃう。
そんな男が松蔭に惚れたわけ
松蔭に尋ねた。「男子として死する時はどのような時か」
松蔭曰く「死して永久不滅の存在になれるなら、何時でも死を選ぶべきである。
また、生きて、天下国家の大業を成し遂げる見込みがあるなら、何時でも生きる道を進むべきです。」
「生死は”かたち”に過ぎないのです。そんなことにこだわるべきではなく、今の私は、ただ自分が言うべきことを言う。
ということだけを考えています。」
強いて言えばいい大人が死生観を塾で語り合うこと自体、あり得ませんし、おかしいことです。
そんな訳で明倫館より松下村塾が面白い。
長州藩士として生きていればそれだけで充分な位置にいた
長州で一番の美人と言われた奉行井上平右衛門(大組・250石)の次女・まさを親からのすすめで嫁にする。
そして一子(男の子)をもうけ晋作は安堵する。
長男としての役目を果たしたこと、そしてこれからは何時何処で死することが在っても親は困らない。
普通に生きることが出来ない性分なんでしょう。
波瀾万丈、自由闊達にして大いに自分の命を生きて行きたい。
松蔭と同様、沢山の文献を残している。
主に、手紙、日記などである。
いわゆる筆まめなのだ。
そして生まれた時代が時代であった。
また、その誕生した舞台が役者にして主人公を晋作に求めたのです。
ダイ・ハードみたいに危機一髪、アクション映画の俳優を気取って頂いた。
だからこそ『おもしろきこともなき世をおもしろく』
そしてその句を詠み終わらずに、予告編もなく、その役目を終えて行ったのです。