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癌が友人を蝕み、かける言葉もなく、そして死んで行く

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人は生まれた時に死を迎えることを運命ずけられている。

むしろ無限の命は残酷でもある。

神が永遠の命をあなたに与えたとしたらそれは地獄への招待状だ。

命の命たる所以は死をもって休息することにある。

そして次から次へと新しい命が生まれる。

新たな希望と夢をもって誕生するのだ。

だから死を恐れてはいけない。

 

 

50歳の声を聞くと1人2人と癌に蝕まれて行く

多くの仲間とともにこの世に生まれた。

そして共に夢を語らい、まだ見ぬ恋人を語り合う。

若き命のなんと清々しいことか。

 

小さい時からの友が食道癌に

めっちゃ凄い抵抗力を持っていると思っていた。

その耐性は人獣成らざるものであった。

まさか癌になっても容易には死なないと確信していた。

60歳過ぎたら一緒に山でも行こうと思っていた。

しかし、神は無情であり、急な死をもたらす。

そんなに金があった訳では無い。

そんなあいつがベンツに乗っている。

そんな話を聞いた。まさかだろう。

死ぬなんてこれぽっちも考えたことなどない。

まさかそのタイミングで死ぬとも思えなかった。

癌は既に発症し、多分、余命は告げられていたのであろう。

ただ、あまりにも急過ぎる。

家族には喉に調子がちょっと変だからと言い通院している病院に行った。

そして緊急に病室をあてがわれて奥さんとお子さんが連絡を受け病院に到着する前に突然死んでしまった。

残念なことである。

 

 

 

 

その死に顔は決して安らかな死に顔ではなかった

奴の両親も、そして弟も、嫁も子供も予想も出来なかった。

心残りが山のようにあったのだろう。52歳である。

子供が出来ずに苦しんでいたが立派な男の子が誕生した。

ただ奴とザイルを結ぶと必ず落ちる。

だからザイルは結ばないことに決めていた。

お調子者だったのであろうか?

ザイルは一般的に40メートルである。

その両端を結び合い、20メートルの距離を残して

お互いにぐるぐると輪を組む。雪山の急斜面を

歩く際にこの距離を維持しながら歩く。

例えばクレパスがあれば1人が落ちても片側の1人が止めることが出来る。

例えば突風や落石等で倒れ斜面を滑る際もこのザイルワークで止める。

ザイルの輪っかの中にピッケルを差し込み雪面に刺す。

ザイルの束を左手で押さえつけながらショックを吸収しながら止める。

これはヒマラヤなどに行った際に行う危険回避の方法だ。

 

12月末、富士山の9合目の急斜面で訓練を行っていた。

先頭を歩いていた奴が急に滑落を始める。

戦闘が落ちると言うことは40メートルは

 

滑落する。それを止めるのは自分だ。

その以前にも岩登りで落ちている。

これを機会にパーティーは組まない。

 

それでも友人であり強いて言えば竹馬の友だ

 

共に高みに憧れ、そして訓練と練習の日々を過ごして来た。

社会に出ればなかなか会う機会も少なくなる。

ただ共通項として山があったので1年に数回は会っていた。

 

友人が死んでしまうことは普通考えない。

しかし、事故や癌はどんなザイルを持ってしても止めることが出来ない。

52歳で死んでしまうのは決して許されることではない。

 

ただ、喉に違和感を感じたら直ぐに医者に行き癌の検査を行って欲しい。

本人もまさか癌に罹っているとは思いもしなかったと思う。

奴の母親や父親と何十年ぶりかで会った。

弟にも会った。まさか君の亡骸を前にして会うとは想像も出来なかった。

君は私の心の中に何時も生きている。

 

あの笑顔が何時でも思い浮かべることが出来る。

もし出来るなら君の奥さんと息子さんをしっかりと見守ってあげて欲しい。

さよならも言えなかったんだから。

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